Brand List

THE NORTH FACE

ブランド一覧へ戻る

パリの5月革命、アメリカのベトナム反戦運動、日本の学園闘争、団塊の世代には懐かしい60年代の後半は、西欧社会で若者の反乱が起こった時代でした。

建国当時より東海岸から開拓されたアメリカ合衆国は、アイビーリーグに代表される、東部エスタブリッシュメントの世界がありました。これに対して、後から開発された西海岸は、形式にこだわらない、自由奔放な気風が育ちました。

すでに60年代前半から、ヒッピームーブメントが発生し、その中心はフラワーチルドレンと称される人々が集まった、サンフランシスコでした。
サンフランシスコの対岸バークレーにある、カルフォルニア州立大学バークレー校(UCB)は、かつてスコット・マッケンジーが歌った「花のサンフランシスコ」に代表される、
ヒッピー文化の発信地であり、反戦運動の牙城でもありました。

バークレーは典型的な学生街で、立派な本屋さんと並んで古くからスポーツショップも展開されていました。
今日的なアウトドアショップの元祖と言われる「スキーハット」もバークレーにありました。バークレーの街で、二人の若者がミシンを踏んで、細々とダウンのスリーピングバックを縫っていました。この二人に合流し、資金を提供して自ら社長になったのが、スタンフォードを卒業したばかりのハップ・クロップでした。

社名はザ・ノース・フェイス、1968年のことでした。


UCBの近く、テレグラフ・ストリートに最初の直営店を構えた
ハップ・クロップの理想は、自社の製品やブランドイメージが、
あの「アイガー北壁」のように他を寄せ付けない、
孤高の頂点に上り詰めることでした。会社のロゴも
あの北壁をイメージしたシンプルなものでした。

68年という時代、バークレーという場所、ウトドアエクイプメント、
すべてが当時の若者に支持されるキーワード「革新」であり
「新しい価値観」でした。それまでのアメリカ、あるいはイギリスや
ヨーロッパの伝統的なアウトドアスポーツといえば、ハンティングや
フィッシングであり「ブラッドスポーツ」と呼ばれる、獲物の血を流す
遊びでした(当時はキャチ&リリースという概念はなかった)。
ハンティングもトラウト・フィッシングも、本来広い領地を持つ貴族の
遊びでした。アメリカにおいても、東海岸ニューイングランドの
LLビーンやオービスが、あるいはかつてのエディバウアーなどが、
ブラッドスポーツをメインにしていたのも、当然のことでした。

60年代後半からの、アウトドアスポーツにおける新しい価値観とは、
「クワイエット(静かな)スポーツ」とエコロジーでした。
エンジンなどの外部動力を使わない、自分の道具は自分で
背負って歩く、環境を汚さない、そして殺さない。
それはバックパッキング、フリークライミング、XCスキー、カヌー、
MTBなどに代表されるスポーツでした。


ザ・ノース・フェイスは、まさに新しい価値観のもとに創業された、
新しい会社であり、クワイエット・スポーツの旗手となりました。
ベトナム帰還兵や反戦運動家が起こした、物質文明から離れ、
自然に還ろうというバックパッキング・ムーブメントの
大きなうねりに乗って、ザ・ノース・フェイスは一躍若者の
熱狂的な支持を受けたのです。

ザ・ノース・フェイスの人気は、単に時代性だけではありませんでした。
創業当初からのスリーピングバックにしても、
高品質のグースダウンや厳しい生産管理だけでなく、
スリーピングバックに「最低温度規格表示」を付けました。
そのスリーピングバックが最低何度まで快適にすごせるか、
という表示で、現在では他社も行っていますが、製品に対する自信と、情報を明らかにする
オープンマインドがなければできないことです。

創業以来、テント、パック、ウェアなど、さまざまなアウトド用品において、革新的な軌跡を残して来た。

ザ・ノース・フェイスは、今も機能を追及し「今BESTであること」だけを考えています。